先日、不覚にも骨折をして手術、入院をしてしまいました。
両親のおかげで、今まで大きな病気や怪我もなく過ごしてきた私にとって、色々なことが未知の経験でした。
しかし、人生初体験の出来事はもしかしたら他の方々の予防や参考になるのではないかと思い、備忘録代わりにまとめていくことにしました。
足を骨折するとどのような生活になるのか。
手術や病院での生活はどんな感じなのか。
松葉杖生活やリハビリなどについて、私の経験したことを記録していきます。
皆さまの「転ばぬ先の杖」としてお役に立てれば幸いです。
骨折の経緯と入院まで
ことの発端は、わんずの喧嘩の仲裁に入ったことです。
ぬしBとリビングでお茶をしている時に、ボーダーコリーの天がリーダーのウェスティの凛に喧嘩を仕向けました。
体の大きさが違うため、慌てて止めようと2わんずの間に入り、足を突っ込んだ瞬間にひどい痛みを感じました。
今となっては、あっという間のことだったので、記憶が定かではないのですが、右足首と天がぶつかった時に痛みが走ったと記憶しています。
ぬしBがその後、2わんずを引き剥がし、天は無傷、凛は擦り傷で事なきを得ました。
私は痛みで動けず、足首があっという間に腫れてきてしまいました。
痛みの加減でこれは病院に行ったほうがいいなと思い、ぬしBに病院を探してもらいました。
その日は日曜日だったので、休日診療所を教えてもらい、すぐ診ていただける病院に車で連れて行ってもらいました。
外来だったので、待ち時間が20〜30分ほどあったような気がします。
(痛みに耐えるのが精一杯であまり覚えていません。)
骨折してから処置をしていただくまでに2〜3時間ほどでした。
レントゲンを撮って、診断は「右足首の脱臼および骨折4箇所」。
私は捻挫のひどいやつだと思っていたので、ショックでした。
看護師さんには「これは救急車で来るレベルだよ。」と言われましたが、私としては即入院で手術が必要ということにショックを受けており、うまく答えられなかったです。
その場で、「整復」といって、とりあえず脱臼した足首をレントゲンで見ながら戻す処置をしていただきました。
麻酔等はなしですので、かなり痛いそうですが、すでに痛みはひどかったので、整復処置中に悶絶するほどではありませんでした。
(ずっと痛かった、という意味であり、整復処置が痛くなかったということではありません。)
その後、入院のためのコロナPCR検査と問診表を書き、そのまま入院となりました。
入院するベッドの準備を待つ30分くらいの間に、職場へメールをして、しばらくお休みをいただくよう取り急ぎの報告をしました。
脱臼を応急処置していただいたおかげで、ひどい痛みからは開放され、痛み止めの薬だけでなんとか過ごすことができました。
入院から手術まで
入院翌日
翌日の朝、主治医の先生が来ていただき、レントゲンで説明を受けながら手術の説明を聞きました。
足首の脱臼はかなりずれており、グラグラな状態であること。
骨折箇所は両サイドに2箇所ずつあること。
全身麻酔をして、プレートとボルトで足首を固定する手術をすること。
全治3ヶ月はかかること。
治っても、元のように走ったりできるかは分からないこと、などなど。
もうこうなってしまったら仕方ない。
それしか頭に浮かびませんでした。
同時に、ぬしBに家事や犬事の一切を負担してもらうことに申し訳ない気持ちでいっぱいになりました。
日曜日の夜に入院し、手術は火曜日午後になりました。
入院翌日の月曜日は、手術のための検査です。
まず早朝5時くらいに、血液検査のための採血がありました。
眠っている時に奇襲攻撃のように採血があります。
今回は色々な血液検査があるとのことで、8本の採血です。
私は血管が細くはないので、採血で苦労したことはないのですが、さすがに片腕で8本の採血は限界がありました。
6本ほど取った時点で、腕がしびれてきて残り2本は反対の腕で採血をしてもらいました。
その後は、レントゲン、心電図、両足のエコー(血栓がないかどうか)などの検査がありました。
検査は全て車椅子で看護師さんに連れて行ってもらったのですが、「犬とぶつかって骨折した奴」という情報が広まっており、毎回どのような状況だったのかや、どんな大きな犬なのか等を聞かれることとなりました。
幸いなことに、その病院の看護師さんや検査技師さんは犬好きが多く、わんこ談義で盛り上がることができました。
この日は翌日の手術に向け、夜ご飯以降は絶食となりました。
手術当日
手術担当の看護師さんが挨拶にいらっしゃり、手術の流れを説明していただきました。
記憶に残っているのは、受け答えの仕方のレクチャーです。
「手術室に入ったら、名前と生年月日を聞かれるので答えてください。その後、今日は右と左、どちらの足の手術をしますか?と聞かれるので、右足ですと答えてください。」と説明を受けました。
これって、パニックになっていないか確認するためでしょうか?
それとも、違う人でないかの確認でしょうか。
いずれにしても、初体験なレクチャーでした。
その後、手術用の点滴をつなぎます。
これは、術後も使うため、左手の人差し指付け根から20cmくらいのところに太めの針をさして点滴をします。
術前の点滴は脱水症状を起こさないための点滴です。
同時に、手術着にも着替えます。
それから、足と指の爪を切ったり、ぐらついた歯がないかのチェックなどを受けました。
13:30からの予定でしたが、前の手術が長引いた関係上、14時に手術室に入りました。
病室から手術室までは車椅子で移動し、手術台に仰向けに寝ます。
そこで、レクチャー通り、氏名と生年月日、どちらの足を手術するかを聞かれました。
ドキドキです。
そこで心電図などの設置や、術中に落ちないようにするために手を固定されたりという準備がされます。
そして、点滴から麻酔薬を入れますねー!と言われた次の瞬間から記憶がありません。
あっという間の全身麻酔でした。
次に目を覚ました時は、手術室から出る頃でした。
この時には酸素マスクを付けていたことを覚えています。
手術室を出たところで、ぬしBがいることを看護師さんに教えていただいたので、「しっかりしなくちゃ!」と目を見開いていたことを覚えています。
ぬしBが写真を撮っていたのですが、目が不自然に開いていました…。
2〜3会話ぬしBとして、ぬしBは帰っていきました。
その後、私はリカバリールームという、看護師さんの詰め所から一番近い病室で夜を過ごしました。
手術室に入ったのが14時、出たのが16:30。
2時間半の手術だったようです。
麻酔からは醒めていたのですが、記憶は虚ろ虚ろです。
何時くらいなのか、どんな状況なのかなど考えることはなかったです。
夜の8時くらいに、ある程度意識が確かになったので、家族にLINEをして無事を報告しました。
しかし携帯電話を数分見ていただけで、気分が悪くなってきたので、一通りの報告を済ませてまた眠りました。
長時間体を動かせられないため、足の血栓を防ぐために、骨折をしていない左足は鬱血防止の加圧ストッキングを履き、その上から血流を促すためのポンプを装着していました。
手術翌日
翌朝、採血があり、朝8時に通常の朝食が提供されました。
その後、血圧と検温があり、全身麻酔のため必要だったいくつかの管が取り外されました。
いくつかの管とは、酸素マスク、心電図、尿道管です。
朝食が済み、管が外されると、次は術後の検査です。
ベッドに寝たままの移動で、足のエコー(血栓がないか)とレントゲン撮影。
その後、晴れて通常病棟に戻れました。
この日から1週間は、痛み止めと血栓防止の血液がサラサラになる薬を服用することになりました。
手術前に入れた点滴の管はそのままで、1日3回の抗生剤の点滴がありました。
入院直後から、トイレも一人で行けず、都度ナースコールを押して車椅子で連れて行ってもらっていました。
手術翌日の夕方から、看護師さんから車椅子の操作を教えていただき、それからは気兼ねなくトイレに行けるようになりました。
車椅子って、誰にでも操作できるようにうまく作られていますね!
方向転換や進ませ方も難しいことがなくスムーズに動かすことができました。
リハビリも翌日からスタートです。
とはいえ、足はギプスで固定されているので、リハビリの内容としては足指を動かすグーパー運動とふくらはぎとふくらはぎの前の筋肉に力を入れる運動、腿の上げ下げなどです。
加えて、松葉杖で歩く練習も翌日から始まりました。
術後2日目〜1週間
2日目の朝に血液検査があり、炎症値が正常に戻ったため、抗生剤の点滴は終了となり点滴の管からも解放されました。
手術から3日目で車椅子を卒業し、私の新しい相棒は松葉杖になりました。
とにかく早く復帰したい。
早く動けるようになって、できるだけ早く退院し、また愛するわんずのお散歩に行きたい。
その一心でリハビリに取り組みました。
幸い、運動神経は悪くないので、車椅子も松葉杖も、病院の方々から驚かれるほど上達しました。
そして、普段からわんずのお世話のために筋トレをしていたことが役立ち、リハビリも問題なくこなすことができました。
松葉杖の場合、ギプスの足は常に浮かせておかなければいけないため、腿の裏の力が必要になります。
また、体の体重を片足と両腕で支えることになるので、それなりの筋力がないと体制を維持できません。
落ちているものを拾ったり、立ったり座ったりする際には、片足スクワットのような動作も必要になります。
幸い、片足スクワットは筋トレで経験があったため、問題なくクリアできました。
理学療法士さん曰く、高齢者になると1日筋肉を動かさなければ2%の筋肉が衰えていくとのことです。
ギプスを外したら足や腕がすごく細くなっていた、というのは、これが理由です。
とにかく動かせるところは動かしておくことが大切です。
関節や筋なども動かさないと固まっていってしまうため、ストレッチや筋トレが必要となります。
手術3日目にして座った状態で腿を上げ下げする運動がとても辛かったのですが、怪我をしていないほうの足で同じ運動をすると何の抵抗もなく上げ下げできたことにショックを隠せませんでした。
骨折して動かしていない足にとっては、腿の上げ下げはハードな筋トレですが、健康な足には些細な行為とまで差が広がっていました。
もう一つ、辛かったことは、足の鬱血です。
ベッドで寝ている時は、ギプスの足はクッションの上にアイス枕を乗せて、その上に足を置いておきます。
こうすることで足のむくみや腫れの予防になるとのことです。
この状態の時は痛みもそれほどないのですが、松葉杖で立った時に足先までうまく血流が回らず、足の指が紫色になって鈍痛が走ります。
これがなかなか辛いです。
医師や理学療法士さんからは、手術と怪我のため、血管が損傷しており血の流れが悪くなっているためだとのことでした。
これは日にちが経つと徐々に修復されてくるため、とにかく足指やリハビリで足を動かして血行をよくすることが大切だとのことでした。
痛みがない程度にリハビリをするバランスが難しいのですが、これは地道に努力するしかないと思いました。
術後は毎日、検温と血圧測定があり、毎食後に痛み止めの薬を服用していました。
微熱は1週間ほど続きましたが体調は悪くありませんでした。
術後1週間〜退院まで
再度血液検査と足のエコー、レントゲン検査を受けました。
結果は問題なしとのこと。
リハビリは毎日40分ほど、理学療法士さんの元で、松葉杖の使い方とストレッチ、筋トレがありました。
手術から9日後に抜糸とギプスの巻き直しがあり、翌日の午後に退院となりました。
当初は4週間の入院予定だったため、2週間以上早く退院することができました。
その間、家の一切のことをしながら、仕事をし、私の入退院の準備や手続きまでしてくれた、ぬしBには本当に感謝しかないです。
退院しても、私ができることはほとんどないのですが、とにかく早く退院できたことをぬしBも喜んでくれて良かったです。
入院生活で便利だったもの
約2週間の入院生活を経験して、これはあると便利だと感じたものをご紹介します。
ビオデルマクレンジング
拭き取り用の洗顔液です。
病院では毎朝、顔を拭くための使い捨ての温かいお手拭きが配られていましたが、皮脂汚れなどは十分取り切れません。
このビオデルマは、ベッドの上でコットンに付けて顔を拭くだけなのでとても便利でした。
肌トラブルもなく、退院後の松葉杖生活でも役立っています。
パウダーシート
入院中はお風呂に入ることができません。
病院では週2日、体を拭く日がありますが、毎日のリハビリで汗をかきますので追いつきません。
そんな時に、ボディシートで拭くことでスッキリして、ある程度の清潔は保たれました。
私の場合、入院は冬でしたが、夏場の入院生活はより活躍してくれると思います。
本
テレビをレンタルすることもできましたが、それほど観たい番組があるわけでもなかったので、レンタルはしませんでした。
入院中は、読書好きなぬしBが何冊か本をセレクトして持ってきてくれたので、それを読んでいました。
リハビリと検査以外は、何もすることがなく、ベッドで安静にしているだけなので読書をするにはもってこいの環境です。
私は、それほど早く読めないので、ハードカバーの本を一日かけて読了するペースでした。
読書の良いところは、読んでいる間、その世界に没入できること、想像力を働かせることができること、新たな視点や感情が得られることなどがあります。
そして、人にセレクトしてもらった本は、普段自分では選ばないジャンルもありますので、新たな発見も沢山あります。
テレビや動画視聴も良いと思いますが、私は入院生活でこそ、読書を強くお勧めします。
犬好きに特にオススメな一冊は、こちら『犬を盗む』(佐藤青南著)です。
犬好きあるあるが随所に散りばめられており、犬好きなら共感する部分がとても多いと思います。
サスペンス要素も質が高く、ストーリーもとても良く練られており、一気読みしてしまいました。
入院生活でなくても、ぜひ読んでいただきたい一冊です。
洗濯バサミ
これは、地味にとても便利でした。
足の骨折だったため、身動きが自由に取れません。
一日のほとんどを横になって過さなくてはいけないので、ベッドの上で手が届く範囲で生活をすることになります。
私の入院した病院は、コンセントがベッドの頭の上にしかなく、携帯電話やPCなどの充電コードが全てそこに集中します。
リクライニングベッドを動かすと、そのコードたちがベッドの脇に落ちてしまうことが多々ありました。
それらを拾うのが一苦労。
そこで活躍したのが、洗濯バサミです。
ベッドサイドのパイプにコードを洗濯バサミで挟んでおけば、リクライニングで滑り落ちることがなくなりました。
また、サイドテーブルや小物入れの縁に洗濯バサミを付けておき、ロッカーの鍵やマスクなど、ちょっとした時にすぐに手に取りたいものをかけておけるためとても便利でした。
まとめ
退院して思ったことは、「お家が一番!」ということです。
もふもふのわんず、ぬしBとの会話、ふかふかの布団、静かな夜。
病院では相部屋だったので、誰かの声や寝息(いびき)が常に聞こえ、早朝の採血の奇襲攻撃や急変する患者さんなど、心落ち着くことがなかったと、退院して気づきました。
病院と違い、障害物や段差、階段などがあるため、家の中の松葉杖生活は楽ではありません。
今まで何気なくしていた行為が、すべて格闘技レベルに変わりました。
無理のないように、ある程度は体を動かすことが早期回復に繋がりますが、一方でここで転倒したら振り出しに戻るどころかマイナスになってしまいます。
出来ることは無理のない範囲でやるようにして、無理そうなことはお願いする、私の苦手とするところですが、何が大切かを見誤らないように過ごそうと思います。
この記事を書いている現在は、退院して10日ほどの状態です。
今後の予定としては、術後4週間はギプスをして安静、5週目からギプスを外し、脱着可能な装具を付けながら徐々に足に体重をかけていくリハビリをする。
8週以降で全体重をかけての歩行練習をする、というのが目標です。
今後も折に触れて、この足が完治するまでの悪戦苦闘を記事にまとめる予定です。
皆さまも、どうか怪我や病気にはお気をつけて。
避けられないことももちろんありますので、もしものことを考えて備えておくことができることはしておこうと感じた一件でした。
大変さは足し算、楽しさは掛け算以上。
皆さまにとって、素敵なわんわんライフになることを願って。
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