多頭飼いの相性

飼い方・しつけ
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多頭飼いをしようと思うとき、どのような期待を抱きますか?

わんちゃん同士が仲良く遊びまわったり、ぴったりと寄り添って寝ちゃったり・・・?

そんな姿を想像すると、可愛いらしくて笑みがこぼれますよね。

1頭飼いだと、「飼いぬしと犬」という直線関係のひとつの家族になりますが、多頭飼いとなると、「飼いぬしとの家族関係」プラス「犬同士でのコミュニティー(社会)」が出来上がります。

そのコニュニティーがどのようなものになるかは、迎え入れるまではわかりません。

相性がよさそうと思って迎え入れたけれども実際に一緒に暮らし始めると、想像していたものとは全く違う関係性を、わんちゃん同士で築き上げたりもします。

兄弟姉妹だからといって、必ずしも仲良しなわけはありません。

同じ犬種だからといって、必ずしも相性が良いわけでもないのです。

そこで今回は、多種多頭な我が家における「わんちゃん同士のコニュニティー」「我が家のわんずたちの相性」についてご紹介したいと思います。

今後多頭飼いを検討される際に、少しでも参考になれば幸いです。

もちろん、楽しいことばかりではありません。

多頭飼いには注意すべき点もたくさんありますので、その点に関しては下記をご覧ください。

『もっと飼いたい?』~犬や猫の複数頭・多頭飼育を始める前に~(環境省・平成23年3月発行)
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多種多頭の家族

まずは、我が家の多種多頭のわんずたちを、迎え入れた順にご紹介します。

我が家のわんずたち
  • 凛(ウェストハイランドホワイトテリア) お迎え時年齢:生後7か月
  • 海(トイプードルシルバー) お迎え時年齢:生後3か月
  • しおん(シェットランドシープドッグ・ブルーマール) お迎え時年齢:生後3か月
  • 天(ボーダーコリー・ブラック&ホワイト)お迎え時年齢:生後3か月

凛と海は、同時にお迎えしました。

月齢は凛のほうが海の倍ほどお姉さんですが、コミュニケーション力は未知数でした。

なぜなら、ずっと一人でゲージの中にいたため、他のわんちゃんと関わることも外に出たこともなかったからです。

対して、海はペットショップでも手が余るほどのやんちゃもの。

同じようなサイズのわんちゃんと同じスペースで過ごすと、ちょっかいを出しすぎて一緒に居るわんちゃんを困らせ、そのたびにスタッフさんの手を煩わせるほどでした。

結果、柴犬さんと一緒のゲージでたくましく遊んでいるような子でした。

海は、自分と同じサイズ、もしくは小さな子と一緒に暮らすには難しい性格だと思います。

しかし、凛は海よりも体も力も大きく、さらに本来のテリア気質を持ち合わせています。

そのため、強い子が好きな海との相性は悪くはないだろうという結論に至り、同時に迎え入れることになりました。

同時のほうが、どちらかが「先住犬」となり、後々問題が出てくることが少ないとも考えました。

迎え入れた日の凛と海
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多頭飼いの淡い期待

さて、同時に迎え入れたウェスティーの凛とトイプードルの海。

まだまだ子犬ですし、一緒に仲良く寝ちゃったりするのかな~?

テレビやペットショップなんかでよく見る、重なって寝ている姿なんて見られたら可愛いだろうな~。

そんな淡い期待を胸に、凛と海との生活が始まりました。

同時に新しい暮らしが開始された、凛と海。

多頭飼いにおいて、最初に行われる儀式があります。

それは、犬同士の順位づけです。

もともと集団で暮らしていた犬社会において、上下関係を築くことは大事な習性です。

凛と海も、遊びの中で徐々に互いの上下関係が明確になっていきました。

最初こそは対等に見えたものの、やはり凛は強かった。

しっかりとテリア気質を持ち合わせており、7か月間も他のわんちゃんと触れ合うことなく、一人でゲージにいたせいか、色々なことに関して「加減」を知りませんでした。

海に対して、足音を忍ばせ低姿勢で狩猟ポーズをとります。

そして、狙いを定めて海にアタック!!

海も負けていません。先にちょっかいを出すのはいつも海です。

凛に狙われている時は、尻尾を丸めて少しおびえた様子を出しますが、いざワンプロが始まれば、凛が「もういいよ」という姿勢をみせてもしつこくちょっかいを出し続けます。

ただ、やはり最後にお腹を見せて降参するのは海でした。

最初のころは、その激しいワンプロを止めるべきか悩みました

通っている動物病院でも、ワンプロの動画を見せて相談もしました。

獣医師さん
獣医師さん

この程度であれば問題ないと思います。

あまりに危険を感じるときだけ仲裁をすればいいですよ。

という回答でした。

むしろ、止めてしまうと決着がつかないため、より激しいワンプロに変化することに気が付きました。

そして、わたしたち飼いぬしは、「決着がつくまで見守る」ということに徹しました。

もちろん、ヒートアップしすぎて危険と判断した際は、足を突っ込み仲裁し引きはがします。

(手を入れると巻き込まれて噛まれるので、足を入れて制します。決して踏まないように注意します。)

そんな日々が数日程続き、海が降参するスピードが速くなっていきました。

最初のころはよく、おもちゃの取り合いでヒートアップしていましたが、今では凛が先におもちゃを選んでから、海は他のおもちゃで遊びます。

たとえ海が先に遊んでいたおもちゃだとしても、凛が欲しがれば、ケンカになる前に差し出します。

遊び方も、最初の順位づけのような激しさはなくなりました。

その後も、海から凛にちょっかいを出すことはありますが、凛もお腹を出しながら甘噛みで対応するような、まったく危険を感じない遊び方に変わっていきました。

そして、「海は凛に一目置いている」ということは、わたしたち飼いぬしの目にも、明らかにわかるようになりました。

犬同士の順位づけを、最初からみることは初めての経験でした。

しかし、海から凛に甘えたり一緒に寝たりということは一切しませんでした。

わたしたちの淡い期待であった、「一緒にくっついて寝る姿」は今も昔も見ることはありません。

しかし、凛と海がそうやって自分たちで良い関係性を築き上げ、互いに意識しながら元気に明るく過ごしてくれていることが、何より幸せなことです。

コミュニケーション力が未知数だった凛は、海との生活を通して「加減」と「遊び」の楽しさを知り、どんなわんちゃんとも上手にコミュニケーションをとれるようになりました。

凛の一番好きな場所は、ドッグランです。色んなわんちゃんと遊ぶことが大好きです。

一重に、海のおかげであると飼いぬしは勝手に思っています。

対して、ペットショップではしつこすぎて疎まれていた海でしたが、凛との生活を通して「上下関係」と「引き際」を学んだようです。

順位づけワンプロが始まる気配
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3頭目

凛と海のお迎え後、上下関係も出来上がったころに、3頭目のしおんを迎え入れました。

しおんは、中型犬で凛・海よりも体が大きいからなのか、とても穏やかな性格でした。

また、とても空気の読める性格だったため、先住犬である凛と海の様子を俯瞰し、自分の立ち位置を察し、すぐに馴染みました。

順位づけワンプロも、凛・海の時のような激しさは一切なく、どちらかといえば「リーダーである凛の審査のようなもの」があったのみでした。

【凛→海→しおん】という順位は、すぐさま決定し、3頭で仲良く微笑ましいワンプロをする日々が始まりました。

ここでも、最初にちょっかいを出し始めるのは決まって海でした。

成長するにつれて、海としおんが凛にちょっかいを出す、という始まりがスタンダードとなりました。

凛はいつも人気者です。

うっとおしがりながらも、海としおんの相手をしてあげています。

凛により新入りしおんの審査
凛・海のワンプロから上下関係を学ぶしおん

そして4頭目

海に噛まれても怒らない天

凛・海・しおんを迎え入れてから約3年後。

ボーダーコリーの天を迎え入れました。

天の迎え入れは、私たちの多頭飼いにおいて一番慎重にならざるを得ませんでした。

天は、身体も力も体力も、他の子の倍以上に大きくなります。

最初が肝心と思い、飼いぬし側でも「先住犬」である凛・海・しおんを優先して我が家での順位を明らかにしながら天を育てていきました。

天は極度に臆病なうえ、慣れるまでは天だけがゲージで凛・海・しおんが周りにうろうろしているという環境であったため、ゲージの中ですでにこの家での順位を把握していました。

特に、リーダーである凛への服従心が強く、凛が近寄ると尻尾を丸くして伏せてすぐに降参する姿勢をとりました。

凛・海に関しては、天との順位づけのワンプロはありませんでした。

体格差があるので、ワンプロには細心の注意を払いましたが、幸い杞憂に終わりました。

小さなときに刷り込まれたその意識は、大きくなった今も変わりません。

ただ一人、しおんを除いては・・・。

しおんとは、縄の引っ張り合いやワンプロを通して順位づけが行われていきました。

しおんはもともと競争心が薄く、すぐに服従する性格の為、大きなケンカまでは発展しませんでした。

しおんは天との順位づけの結果、順位を落としました。

最終順位としては、【凛→海→天→しおん】となりました。

平和主義のしおんは、ケンカになるくらいならば、すぐにお腹を見せるという技を身に着けています。

多頭飼いにおいて、しおんのような存在は仲介役も担ってくれるため、とてもありがたい存在です。

天の、凛・海への服従心は強く、甘えて構ってもらいにちょっかいを出しに行くという場面をよく見ます。

身体の小さなトイプードルの海が、天をうっとおしがって吠えたり噛みつこうとすることもありますが、天はそれも甘んじて受け入れます。

天は、凛・海・しおん、みんなのことが好きで、まんべんなく甘えに行きます。

しかし、他のわんずはその度を越えた甘え方、ちょっかいの出し方をうっとおしいと感じるのか、距離感は常に保たれています。

完全降伏のしおん
海が好きでちょっかいを出す天
凛には少し控えめな天

4頭の相性

わが家の4頭の相性を一言でいえば、「悪くない」という言葉につきます。

正直なところ、「相性が良い」という関係がどのようなものなのかを想像でしか知らないため、判断がつきにくいも言えます。

ただ、皆が一緒にいることが当たり前で、誰かが欠けるととても気にするところや、別行動を嫌がるところ、普段問題なく同じスペースで過ごせているところを見ると、相性は「悪くない」のだと思います。

特定のペアが、特別仲がいいということもなく、皆がそれぞれのペースパーソナルスペースを保ちながら暮らしています。

好きなベッドで眠り、同じ水飲み場を順番待ちをしながら使用し、同じトイレで排泄もしてくれています。

もちろんお散歩も、4頭全員で行きます。

何かあってからでは遅いので、飼いぬしの目が届かないお留守番の時だけは、体格の大きい天はサークルの中に入ってもらっています。

お水の順番待ちをする天
みんなでお散歩

多頭飼いの危険

普段は、上下関係のルールを守って問題なく過ごせているのですが、それはあくまで「理性が保てているとき」です。

ボーダーコリーの天は、神経質で臆病な性格から、パニックに陥ることがあります。

急にスイッチが入ってしまうのです。

普段は守られている秩序も、その時ばかりは乱れてしまいます。

パニックになりスイッチが入ると、小さな凛・海・しおんを傷つけてしまうこともあります。

それが、体格差のある多頭飼いにおける一番の注意点だと感じています。

それは、天に限ったことではなく、凛・海・しおんにも同様のことが言えますが、この3頭は力の差があまりないため、ケンカになっても大きなケガにまで発展することはありません。

天に関しては、そうはいきません。

力の差がありすぎるのです。

体格差のある多頭飼いが推奨されていないことも、このリスクがあるからです。

飼いぬしとしては本当に至らないことですが、実際に天のパニックによって他のわんずがケガをしたこともあります。

幸い大事には至らず、その後もわんず達は変わらずに普段の生活をしています。

わたしたち飼いぬしは、そのリスクを可能な限り排除することだと思っています。

天が怖がること、嫌がることは今までの傾向からほぼ分かっているので、事前に天を遠ざけておきます。

不穏な空気が出ていたら、すぐに天を他の場所に移動させ、落ち着かせます。

天自身も、自分がパニックになりそうなときは皆のそばから離れたがります。

(部屋のドアのほうへ行き、廊下へ出ようとします。)

天が他のわんずにケガをさせるようなパニックに陥らないように、リスクヘッジしていくことが、多頭飼いの飼いぬしとしての責任だと感じています。

わんずの安全は、飼いぬしの責任です。

それは、自分の飼っているわんずだけではなく、ドッグランやお散歩で出会うすべてのわんちゃんたちの安全も含みます。

先日、偶然購入したわんずのお菓子の袋に、下記のようなメッセージがありました。

「愛犬家の私たちがいるように、犬が嫌いだったり犬を怖がったりする人もいるのです。

今以上に犬嫌いの人を増やさないようしかりしつけましょう」

株式会社ジャンプ 愛犬のおやつ グーデ

多頭飼いをしていると、他の人から見ればお散歩の迫力も通常とは比にならないと思います。

だって、大小4頭ぞろぞろと歩いているのですから。

犬が嫌いだったり怖がったりする人からしたら、狂気の沙汰でしょう。

そんな周囲への影響や配慮を、飼っている数が多い分、十分に気をつけなければなりません。

多頭飼いをする際は(多頭飼いではなくても犬を飼う際は)、愛犬のお世話だけではなく、マナーや周囲への配慮も含めて、しっかりと責任を果たさなければならないと改めて気を引き締める言葉でした。

仲良しは珍しい?~身近の多頭飼いの例~

さて、いままでは我が家のお話でしたが、ここからは周りにいる多頭飼いのケースをご紹介したいと思います。

【ケース1:チワワ4頭の多頭飼い】

こちらのおうちでは、最初に同時に2頭のチワワさんを迎え入れました。

しかし、その2頭の相性が悪くケンカばかりでどうしようもない。

そこで、関係性が直線にならないようにと新たにもう1頭のチワワさんを迎え入れました。

新しく仲間入りしたチワワさんは、先にいた片方のチワワさんとの相性がとてもよく常にくっついて寝るほどになったので同じサークルで過ごし始めました。

そうなると、最初に迎え入れた1頭のチワワさんだけ、もう一つのサークルに一人ぼっちになってしまい可哀そう。そう思った飼い主さんは、もう1頭チワワさんを迎え入れました。幸い相性が良く、2頭ずつでサークルに入り、仲良く過ごすことが出来ました。

このお話を伺った際に思ったことは、「もし相性が合わないことが続いたら、あと何頭迎え入れていたのだろう・・・?」という疑問でした。

しかし、現在4頭と幸せそうに暮らす飼い主さんにはその質問は愚問であると思い、心に留めておきました。

【ケース2:フレンチブルドッグ2頭の多頭飼い】

フレンチブルドッグさんを迎え入れて6年目。

新たにもう1頭迎え入れることにした飼い主さんは、2頭目を迎え入れるにあたり、相当悩みました。

それは、最初のこが「他のわんちゃんが苦手である」からでした。

さらに、とても「嫉妬深い性格」であったため、仲良くできるのか心配ということでした。

正直、私もその話を聞く限りとても心配にはなりました。

悩んだ結果迎え入れた2頭目のフレブルさんと、先住犬のフレブルさんですが、現時点ではまだ全く馴染めていないということでした。

先住犬のフレブルさんは嫉妬心から、新しい子のいるゲージに飼い主さん近づこうとするだけで吠え、新しい子のゲージにも近寄ろうともしないとのことです。

まだ、迎え入れてから半年ほど。

その後どうなってくのかは分かりませんが、どうか楽しく暮らしてほしいと望むばかりです。

【ケース3:2頭の多頭飼い(ヨークシャーテリア&大型犬)】

ヨークシャーテリアの子を迎え暮らしていた際に、大型犬の雑種(秋田犬くらいの大きさ)を拾ってきて2頭の多頭飼いが始まりました。

共に室内で飼育していたので同じ空間にはいるものの、互いの存在をあまり意識せずに問題なく生活していました。

大型の雑種の子がとてもやさしい性格であったことも大きく、先住犬のヨークシャーテリアとの上下関係もしかり築けており、ケンカになることもなかったようです。

わたしが知っている多頭飼いのケースは限られていますのであくまで主観にはなりますが、

多頭飼いでとっても仲良し、というケースはあまり多くはないのかもしれません。

そんな中で、大きさも犬種も違う多種多頭飼いをしている我が家では、相性が「悪くない」ということはとても恵まれていることなのかもしれません。

そんな私たちに出来ることは、わんずたちがこれからも楽しく快適に、そして安全に生涯暮らしてもらえるように努力を惜しまない、ということだけだと感じています。

まとめ

犬好きの人にとっては、「沢山のわんちゃんに囲まれて暮らしたい!」という気持ちを一度はもったことがあるのではないでしょうか。

しかし、犬を飼う前に、ましては多頭飼いをするにあたっては、そんな「憧れ」や「夢」だけでは決断することは出来ません。

1頭飼うことと、2頭以上飼うことは、全く違います。

金銭面だけではなく、わんちゃん同士の相性問題、わんちゃんのストレス、ケガのリスク・・・。

飼いぬし側の行動も、考え方によってはかなり制限されていると感じる可能性もあります。

考えられるすべてのリスクを想定し準備をし、最悪のケースにも備えられると考え抜いた先に、わんちゃんを迎え入れるタイミングはやってくると思います。

もしもわんずの相性が悪すぎて一緒の空間で暮らせないと判断した際には、部屋をもう一部屋借りるでも、部屋数の多い部屋へ引っ越すでも、飼いぬし側で出来うることは何でもするという気持ちで多頭飼い始めました。

実際、多頭飼いを始めたことで、職場も住む地域も変わり、家も3回変わり、車も買いました。

「わんずたちにとってどうすることが幸せか」「わんずとの生活をいかに楽しむか」が、わたしたちの中心にあるので、自分たちが変化していくことは全く苦になりませんでした。

2人とも働きながらの多頭飼いではあるので、お留守番の時間だけはどうしてもできてしまいますし、我慢してくれている場面ももちろんあると思います。

それでも、この家族でよかった!と思えるような我が家にすべく、私たちは日々精進していくのです。

知識も経験もまだまだなわたしたちですが、この記事を通して、これからわんちゃんを飼う方や、多頭飼いを検討されている方に、少しでも参考になる箇所があれば幸いです。

わんこって、素晴らしい。

大変さは足し算、楽しさは掛け算以上。

皆さまにとって、素敵なわんわんライフになることを願って。

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