わんこをお迎えした時、問題行動があった時、自分のしつけの仕方に疑問を抱いた時など、わんこのしつけやトレーニングは、不安や迷うことが多いですよね。
4頭の犬種も年齢も異なる多種多頭犬飼いをしている我が家では、トレーニングの悩みは尽きません。
専門家にアドバイスをしてもらいながら、わんこと飼い主がより暮らしやすいようにしたい!そう思う飼い主さんは少なくないのではないでしょうか。
とはいえ、ドッグトレーナーさんも多種多様。
我が家も実際にトレーニングを受けたのは2箇所、お試しで終わったのは2箇所あります。
経験から分かったポイントは、私たち飼い主とドッグトレーナーさんの間で信頼関係が築けるか、です。
言い方を変えれば「飼い主に対して、しっかりトレーニングできるトレーナーさんかどうか」が大切だと思います。
今回は、我が家が経験したドッグトレーニングの体験談と、そこから学んだことをまとめてみました。
ドッグトレーナーについて
ドッグトレーナーになるには
ドッグトレーナーになるために、国家資格などの決められた資格はありません。
そのため、誰でもいつからでもトレーナーになることができます。
とはいえ、仕事として依頼をされるためには、それなりの経験や実績が必要となります。
取得必須の資格は必要ありませんが、色々な団体が設置している資格があります。
主なものは、国が認可している3つの団体が、それぞれ公認訓練士制度を設置しています。
3つの団体とは以下のとおりです。
また、ドッグトレーナーと言っても、目的によってその呼び方も変わります。
例えば、盲導犬や警察犬、災害救助犬などの使役犬のトレーナーは訓練士。
空港検疫犬や麻薬探知犬、爆発物探知犬などの探知犬のトレーナーはハンドラーと呼びます。
その中で、麻薬探知犬は麻薬という特殊なものを扱うため、育成訓練ができるところは限られており、東京税関麻薬探知犬訓練センターで唯一の育成訓練を実施しています。
上記の目的以外のトレーナー資格としては、以下の2つがメジャーです。
1.ドッグトレーナーライセンス(C〜A級)
日本ドッグトレーナー協会(JDTA)主催 家庭犬のしつけ(子犬重点)
2.CPDT
日本ペットドッグトレーナーズ協会 プロのトレーナー資格
特にCPDTは世界最大のドッグトレーナー団体であるドッグトレーナー協会が認定している世界基準に沿った資格です。
受験資格も以下のように厳しく設定されています。
試験は筆記のみですが、様々な知識を問う180問のマークシートを3時間以内に回答しなければなりません。
また、合格しても3年毎に資格継続のための再試験、もしくは教育を受け続けなければなりません。
世界基準の資格は厳しいんだね!
海外のドッグドレーナー事情
私の調べた限りになりますが、ドッグトレーナーを専任の職業としている国はあまりないような印象を受けました。
もちろん、海外にも専門学校などはありますが、その多くは使役犬などの訓練士を目指すことで、家庭犬のトレーナーを職業とする内容のものは見当たりませんでした。
先ほどご紹介したCPDT資格をイギリスで受験する場合、筆記試験で必要となる基礎知識や行動学などは自ら勉強して身につけることが主流だそうです。
実技に関しては、個人のトレーナーのコースを何度も受け、経験を積む方法を取っている人がほとんどのようでした。
ヨーロッパの多くの国は、わんこを迎え入れるにあたり、飼い主の教育訓練が義務付けされているように、トレーナーさんにお願いするという考え自体が少ないのかもしれませんね。
我が家の体験談
動物病院付属のしつけ教室
こちらは、最初の3わんずをお迎えした時にお世話になりました。
先住犬時代から通っていた病院の中にある教室です。
この病院は規模が大きく、診療以外にトリミングサロンやペットホテル、幼稚園やリハビリ施設、ペット用品通販事業など、動物に関わる幅広い事業を展開しています。
しつけ教室のきっかけは、診察の際に案内されたことです。
この病院では、色々なイベントを催しており、パピースクールが始めでした。
とにかく、社会化は大事!と思っていたので、同年代のわんこたちが集うスクールに通いました。
動物病院付属であるため、獣医師とトレーナーの情報共有ができており、わんこたちの体調や性格などの理解がしっかりされており、とても安心できました。
トレーナーさんも何人かいらっしゃいましたが、全てのトレーナーさんがJKCなどの何かしらの資格を取得されており、中にはアメリカまで研修に行っている方もいらっしゃいました。
ここではパピースクールを始め、歯磨き教室、キンダーガーデンなど、主に子犬期のしつけに関してお世話になりました。
3わんずはもちろんですが、飼い主に対しても良く話を聞いてくださり、それぞれのわんこの性格に合わせたトレーニングのしかたや、その時々で悩む課題に対しての解決策を提案してくださいました。
先代犬のボーダーコリーかのんが癌で闘病していた時には、病状を把握した飼い主とかのんの気分転換のためのトレーニングや、体力が低下した場合の介助のしかたなどを提案してくださいました。
ただ目の前の課題を解決するだけではなく、わんこと飼い主の状況を汲み取って先読みしたトレーニングを提案してくださるのは、本当に涙が出るほどありがたかったです。
個人の出張トレーニング
ボーダーコリーの天の車追い対策のためにお世話になりました。
天をお迎えした時は、私たちは社会化について気を抜いてしまっていました。
すでに3頭のわんずがいる環境だから、自然に社会化ができるだろうと。
住んでいる場所も以前とは違い、お散歩中に同じようなわんこさんに会って交流する機会もなく、家族以外の人やわんことの交流が圧倒的に減ったことも原因かもしれません。
天が1歳になる前後から、人やわんこへの警戒心が強くなり、ボーダーコリーで多く見受けられる車追いの傾向も出てきました。
今までお世話になっていた動物病院から遠く離れた場所へ転居したため、一からトレーニングができるところを探しました。
田舎住まいのため、スクールを開催しているような動物病院はなく、通える距離では見つかりません。
そこで、出張してもらえる個人のトレーナーさんに、まずは無料相談をしてもらいました。
自宅まで来ていただき、実際の生活環境や悩んでいることなど30分ほど話を聞いていただきました。
そして、1回お試しでトレーニングをお願いしたところ、天がとても楽しそうに取り組んでいた姿を見て、お世話になることを決めました。
15回のチケット制で週1回ペースのトレーニングでお願いしました。
このトレーナーさんはPD(日本警察犬協会)の資格を持っていました。
トレーナーさんの考え方として、まずトレーナーさんが天とトレーニングをする仕方を見せて、それを飼い主ができるようにアドバイスする、というスタイルでした。
私たちもその考えに納得していました。
実際にトレーニングするのは、私たち飼い主ですので、私たちがその方法をマスターすることが大切だと考えていたからです。
しかし実際は想像とは違いました。
1回のトレーニング時間60分のうち、トレーナーさんが担当する時間が半分以上あり、私たちがやってみる時間がとても少なかったです。
また、トレーナーさんと同じように出来るとは思いませんが、飼い主に向けてのアドバイスや提案があまりなく、私たちが習得できる機会が少なかったこともありました。
結果として、このトレーニングで私たちが得たものや、天が習得できたものがほとんどありませんでした。
15回のチケットは、全て使いきれずにトレーニングを終了しました。
その一番の理由は、時間のルーズさでした。
毎回、次回の日時を約束しているのですが、時間どおりに来ていただいたことのほうが少なく、遅れる場合は30分以上。
遅れるという連絡も、約束の時間を過ぎてからなので、私たちの予定を変更することもできませんでした。
このようなことから、そのトレーナーさんとの信頼関係は築けぬままになりました。
お試しトレーニング
1.個人のトレーナーさん
前述のドッグトレーナーさんから、ちょうど1年ほど経った頃に偶然出会った方です。
天の車追いは相変わらずで、解決策が見当たらない頃でした。
無料相談とワンコインレッスンをお願いしました。
そのトレーナーさんは、問題を克服するという考え方とは真逆で、「問題から遠ざける」ことを前提としていました。
「車が嫌なら、車が通らない道を散歩すれば良い。」というのがアドバイスです。
天が引っ張ったり、飼い主への集中力を欠くのも理由があるとのことでした。
引っ張るのは、リードが短すぎるとのこと。
その当時、私たちは引っ張りが強い天のためにショートリードを使っていました。
短いほうがコントロールが効きやすいと考えたからです。
ワンコインレッスンの時に、通常より少し長めのリードを借りて公園を歩きました。
トレーナーさん曰く、まずは周りの環境を確認するために匂いを嗅ぐことが、天にとって重要なことだから、天の行きたいところに行かせるように、それが済んだら飼い主のところに戻ってくるからとのことでした。
そして、その言葉どおり、天は一通り匂いを嗅ぎ終わったら、私たちへ注意を引くようになりました。
嫌いや苦手を極力さけることによって、ストレスが軽減され集中力が増す。
そんなことを体感したレッスンでした。
もちろん、生活に支障や問題・危険があるものに対しては、改善・克服しなければいけません。
しかし、避けることで済むことはあるのだと気づくことができました。
このトレーナーさんに継続的なレッスンをお願いすることはありませんでした。
理由は、レッスン場所が遠かったことと、この考え方を教えていただいたことで、私たちの課題としていたことの多くが解決したからです。
2.訓練所
私の骨折がきっかけで、再度、天のトレーニングを検討しました。
この訓練所は、ドッグトレーナー養成所やブリーディングを併設していました。
代表の方にアドバイスしていただける無料のお試しトレーニングに、ぬしBが天と参加しました。
訓練所の代表者からの直々なトレーニングということや、無料ということもあってか、複数の参加者を同時に見るスタイルでした。
そのため、30分ほどの所要時間で直接見ていただけたのは5分もなかったとのことです。
天の引っ張りについて、コマンドを出すタイミングのアドバイスはとても役立ったのですが、トレーニングをお願いしようとまでは思いませんでした。
理由は、無料お試しとは言えど、片手間に対応する姿勢と、訓練所の環境があまり良い印象を受けなかったからです。
預かり訓練を受けているわんこたちが何頭かいたそうですが、屋外のかなり錆びた檻のようなところに入れられていたそうです。
トレーニング場や、檻が設置されている場所も衛生的にあまり良くなさそうだったとのことです。
ドッグトレーナー選びのポイント
いくつかの施設、何人かのドッグトレーナーさんと接した経験を通して、私たちが思う「良いドッグトレーナーさん」のポイントは、
飼い主と信頼関係を築ける人
です。
わんことの信頼関係を築けるのは当たり前なのですが、トレーニングは飼い主が出来なければ意味がありません。
私は、ドッグトレーナーは飼い主の指導ができることが重要だと考えています。
イギリスのドッグトレーナー試験では、指導歴があるかについても問われるそうです。
この指導力とは、人間社会においての指導力であり、例えば子育てや会社での役職、リーダー経験などです。
そして、「信頼関係を築ける人」とは具体的に3つのことで判断できるのではないかと思います。
① トレーナーの指導方法や考え方に共感できるか
② 飼い主としっかりコミュニケーションが取れるか
③ 衛生的であるか
①については、トレーナーさんによって本当に様々な考え方があると思います。
厳しく訓練する人、褒めて伸ばす人、観察して個性に合わせる人などなど。
そのどれも間違ってはいないと思います。
自分の大切なわんこの育成をお願いするにあたり、その方の指導方法に共感できなければアドバイスも受け入れることができません。
私たち飼い主が、わんこをどのように育てたいかを明確にし、その価値観に合ったトレーナーさんにお願いすることが、信頼関係を築く第一歩になると思います。
②も大切です。
わんこと意思疎通が出来る、イコール飼い主と意思疎通ができるわけではない、ということを経験を通して学びました。
飼い主に対しての説明が上手であること、飼い主の考えや思いを汲み取れることは信頼関係構築にダイレクトに影響します。
③は、生き物を扱う仕事に携わるにあたり、その姿勢が衛生面に現れると考えているからです。
毛むくじゃらのわんこたちの相手をするので、塵一つない・小綺麗にしているべきということを求めているわけではありません。
衛生的であるかは、手入れや管理が行き届いているかという点です。
それがおざなりになっている場合は、わんこに対しても行き届かないことがあるのではないかと感じてしまうからです。
ドッグトレーナーさんも人間ですから、完璧ではありません。
しかし、大切なわんこをお願いする相手ですので、限られた時間や機会の中で、信頼に値する方かを見分けるポイントは抑えておきたいと思います。
まとめ
イギリスのドッグトレーナー協会では、トレーナーに求めることについて以下のように言及しているそうです。
まさにその通り!と思いました。
わんこのしつけは飼い主に責任があります。
トレーナーさんにお任せするだけでOK!なんてトレーニングはないと思います。
改善すべき、変わるべき、学ぶべきは私たち飼い主なのです。
だからこそ、私たち飼い主が愛するわんこのことをしっかりと理解し、そのわんこの性質や個性に合ったトレーニング方法を見つけることが何よりも大切なのではないかと思い至りました。
それを提供してくれるのが、ドッグトレーナーという存在です。
私たちの愛すべき4わんずは、それぞれトレーニング課題がたくさんあります。
まだまだ、色々対処していくことが山積みです。
それを一喜一憂しながら、これからも試行錯誤していこうと思います。
そんな機会を与えてくれるわんこたちって、本当に尊いですね。
大変さは足し算、楽しさは掛け算以上。
皆さまにとって、素敵なわんわんライフになることを願って。
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