春になると我が家は、出費のピークを迎えます。
それは、ワクチンです。
多頭飼いの出費は、食事や保険、ペットシーツなどの日常的に必要なものと、ワクチンなどの年単位でまとまった経費があります。
ワクチンは感染症を予防するものです。
多頭飼いにとっては、とても重要なことです。
新型コロナウイルス感染症で、皆さんもイメージがつきやすいと思いますが、複数のわんこがいる家庭は、だれか一人(一頭)でも感染すれば、たちまち伝染してしまいます。
ワクチン接種によって、家庭外のわんこへの感染も防ぐことができます。
また、ドックランや宿泊施設、トリミングなどを利用する際には、ワクチン証明書を求められることが多いです。
わんこにとっても、人間社会にとっても安心して快適な生活を送るためにも、ワクチン接種は大切なものです。
今回は、わんこの健康維持・予防にも必要なワクチンについて解説していきます。
*記事内のデータや情報は厚生労働省・農林水産省などで公開されている資料を参照しています。
この記事はこんな人向け
- ワクチンや予防のことを知りたい
- 多頭飼いのワクチン接種の方法が知りたい
- ワクチン以外の予防策が分からない
ワクチンの種類と必要性
わんこに接種するワクチンの種類は、接種義務のある「狂犬病ワクチン」と接種義務はない「コアワクチン」と「ノンコアワクチン」の3種類に分かれます。
狂犬病ワクチン
狂犬病ワクチンは1950年狂犬病予防法が制定されて以降、生後3か月以降のすべてのわんこに対し年1回、原則4月から6月の間に接種が義務付けられています。
違反した場合は、20万円以下の罰金に処せられます。
車のスピード違反とは違い、前科がつきます。
それほど重大なことだということですね。
ではなぜ、狂犬病ワクチン接種は重要なのでしょうか。
狂犬病は人間に感染する恐れがあり、感染した場合の致死率はほぼ100%と言われています。
わんこも人も、感染した場合は、死に至る恐ろしい病気なんですね。
でも、狂犬病にかかったなんて聞いたことないよ。
もちろんです!
日本は、徹底した感染対策の努力の結果、1957年以降は国内での発生例はなく、世界でも数少ない「狂犬病清浄国」なのです。
狂犬病清浄国は、世界で6の国と地域が指定されています。(2020年6月農林水産省)
外務省によると、日本が承認している世界の国の数は196(2021年3月時点)ですので、かなり稀なことが分かりますね。
しかも、法律が制定されて7年で清浄国になったのは、すごいですよね。
これは、国と国民の徹底した対策と努力の成果ではないでしょうか。
しかし最近は、この狂犬病予防接種率が低下していることが懸念されています。
2020年には、7割程度に留まったとのことです。
この接種率の分母は、届け出があった登録犬数ですので、届け出をせず、わんこと生活をしている人は含まれていません。
(社)日本獣医師会による推定は、実際の接種率は4割程度だとされています。
予防接種率が全体の半数以下という数値は、かなり心配ですね。
先輩飼い主さんたちの努力を無駄にしないためにも、私たち飼い主は、しっかり予防をしていかなければいけません。
コアワクチン
コアワクチンは、狂犬病と異なり、接種の義務はありません。
しかし、「感染率と感染後の致死率が高いため、接種を強く推奨する」ワクチンとされています。
コアワクチンで予防できるものは次のような感染症です。
- ジステンパーウイルス感染症
- パルボウイルス感染症
- アデノウイルス感染症
ジステンパーウイルスは、人間のはしかと似たウイルス。わんこが感染した場合の致死率は50~90%と高い感染症です。
パルボウイルスは、消化器系に影響を与え、下痢や嘔吐、白血球の減少がみれる感染症で、無治療の場合の致死率は90%以上とされています。
アデノウイルスは、1型と2型があり、1型は肝炎、2型は喉頭気管炎(ケンネルコフ)の症状が現れます。特に1型は治療薬がなく、幼若なわんこほど重篤な症状になるということです。
どのウイルスも、感染すれば死に至る危険性が非常に高いので、予防のためのワクチン接種はかかせませんね。
ノンコアワクチン
ノンコアワクチンとは、生活環境や居住地域などにより、高い感染症リスクが想定されるものです。
レプトスピラ病,パラインフルエンザウイルス感染症などがそれにあたります。
ノンコアワクチンは、動物病院によっても異なるようですので、予防できる感染症ワクチンの種類は、かかりつけの動物病院で相談すると良いでしょう。
ワクチン接種の際に説明される、「5種混合」「8種混合」などは、これらの種類によるものです。
ちなみに我が家のわんずは、7種混合ワクチンを毎年接種しています。
以前お世話になっていた動物病院では、混合ワクチンを接種した後に抗体検査をしており、実際にどのくらい抗体ができているか確認してもらっていました。
しおんは抗体ができにくい体質のようで、半年に一度ワクチンを接種していました。
その後、転居により違う動物病院になったのですが、その先生は「抗体検査までしなくても大丈夫」との考えだったため、現在はみんな一年に一回の接種をしています。
住んでいる地域や、動物病院の先生によって、ワクチンも異なります。
飼い主さんの考えと、そのわんこに合ったワクチン選択をしていきましょう。
接種のタイミング
狂犬病予防接種は、国で定められているため、毎年4月~6月です。
わんこをお迎えするタイミングによりますが、初年度は月齢が3か月を過ぎたころに、動物病院で接種することになります。
その後は春の接種に合わせて行くことになります。
混合ワクチンは、多くの飼い主さんは狂犬病予防接種と同じ時期に済ませることが多いようです。
私の知っているワン友さんたちも、ほとんどの方が春に混合ワクチンを済ませています。
我が家もレディーストリオは、狂犬病予防接種の1~2週間後に接種をしてもらっています。
天は、7月生まれでワクチン接種が完了したのが11月だったため、毎年11月に混合ワクチンを打ちます。
他のわんずたちと揃えることもできたのですが、その場合は2年目の接種が半年以内になるため、敢えてそこまでしませんでした。
でもこれが良かったです。
次の章で取り上げますが、春は予防接種の他にも健康対策があるため、出費がかさみます。
分散支出をするためにも、春と秋にワクチン接種を分けたことは助かっています。
分けるデメリットとしては、通院する回数が増えることです。
我が家は幸い、病院では大人しくしてくれますので、通院することは負担ではないですが、病院嫌いのわんこの場合は、できる限り病院へ行く回数を減らすのも方法かもしれません。
時間とお金、わんこの負担や性格などを考慮した上で、接種のタイミングを検討していただければと思います。
その他の予防対策
フィラリア予防
春の注射と併せて、フィラリアの予防もしています。
フィラリアは寄生虫の一種で、蚊を媒体として、わんこの肺動脈や心臓に寄生する恐ろしい病気です。
蚊が出始める春から秋にかけて、フィラリア駆虫薬を処方してもらいます。
我が家では、狂犬病の注射の際に血液検査をしてもらっています。
その検査で異常がなければ(フィラリアが体内にいないか)、フィラリア駆虫薬を処方してもらいます。
駆虫薬はソフトクッキーのような形状で、わんずたちの大好物です。
きっと、おやつだと思って食べてくれています。
最近は温暖化のため、冬になっても蚊を見かけることがありますよね。
フィラリア駆虫薬は、1か月前の寄生虫を駆除する薬ですので、蚊がいなくなったからと言って薬を飲むことを止めてしまうのは危険です。
蚊の季節は地域によると思いますので、獣医師さんの指示に従ってしっかり対策をしましょう。
マダニ・ノミ予防
これは年中の予防対策になります。
都心部、郊外に関わらず、ダニやノミはどこでも発生します。
昔、実家のわんこが散歩から帰ってきたらダニが付いていて、取るのが大変でした。
マダニは血を吸いますので、貧血はもちろん、皮膚疾患や感染症にもなります。
人間にも付きますので、わんこ共々、快適な生活を送るために大切な予防です。
マダニ対策は、経口薬(飲み薬)とスポット薬(液体の外用薬)があります。
経口薬のほとんどは、マダニに血を吸わせることで駆除をする仕組みです。
スポット薬は、マダニを寄せ付けない仕組みです。
我が家はスポット薬を使用しています。
毎月一回、首の付け根あたりの背中につけます。
犬種にもよりますが、液体がついた部分は少しべたつきがあります。
我が家で一番のモフモフわんこである、しおんは、べたつきはほとんど目立ちません。
説明書には、シャンプーで効果が落ちることはないと記載がありますが、念のためシャンプー後につけるようにしています。
我が家で使用しているスポット薬は「フロントライン」というものです。
一回使い切りの薬なのですが、以前コストパフォーマンスを考えてスプレーボトル式のものを試したことがありました。
値段としては、使い切りの半額くらいだったのですが、我が家にとっては不便な点が多かったため、元の使い切りに戻りました。
不便だった点は以下のとおりです。
- スプレー式のため、薬液が空気中に舞い、外での噴霧しかできない。
- 噴霧した薬液がわんこ、人間共むせる。
- 毛の表面に付くため、定着させるために手で揉みこむ手間がかかる。
働きながらの多頭飼いは、時短が勝負です。
マダニ予防薬は、わんずも苦手な匂いのようですので、できる限り短い時間で終わるものを選ぶようにしています。
まとめ
以上、まとめると我が家の予防対策は次の4つです。
- 狂犬病予防接種<春>
- 感染症予防接種(7種混合ワクチン)<春、秋>
- フィラリア駆除薬<春~秋>
- マダニ予防薬<通年>
健康管理は飼い主の裁量が大きく影響します。
多頭飼いの場合、一頭が病気や感染症になると他の子に移ってしまう危険性が高いです。
また、フルタイムで仕事をしていると、予防接種に連れて行くのも時間が限られているのでスケジュール調整が必要になります。
でもここをしっかりしておけば、わんずの健康や安全が守られ、一緒に居られる時間も増えることにつながります。
わんずと飼い主、お互いに負担がかかり過ぎないようにしながら、ベストな選択をしていきたいですね。
大変さは足し算、楽しさは掛け算以上。
皆さまにとって、素敵なわんわんライフになることを願って。
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